こんなことがありました。

下郷町青少年の主張発表より③

7月7日に開催されました下郷町青少年の主張で発表した中学生代表の主張発表を紹介します。

 

不安をのりこえて

「将来の夢は何ですか」

「どんな仕事につきたいですか」

中学校三年生にもなると自分の将来について考える機会が多くなってきます。そんな中で、最近僕は教師という仕事に魅力を感じています。下郷中学校で教えて下さる先生方は、何でも知っていますし、聞かれたことに対してすぐに答えてくれる姿は本当に憧れます。

 また、数ある仕事の中で唯一子どもの教育に関われる仕事で、一緒になって様々なことに取り組めるところは、やりがいを感じられるのではないかと思います。

 そんな僕ですが、教師になってみたいと思う反面、なりたくないとも思っています。言っていることが矛盾していて「何言ってるの?」と思うかもしれませんが、実際そうなのです。

 教職員を目指す上で、自分にとっての「壁」は、三つあります。1つ目は、大幅に過労死ラインを超えている労働時間と多すぎる残業時間です。調べてみると連合総研が2022年に実施した公立学校教員へのオンライン調査では、月平均123時間の残業で、過労死ラインとされる80時間を大きく上回っていることが分かりました。1日に直すと約4時間です。僕らの学校が8時には始まり、放課後の部活が終わるのは18時半。教師はそれより早く学校には来て、帰りもそこから自分の仕事がスタートします。残業時間も含めると14時間越え。1日の半分以上になります。

「でも、残業時間が多いのは残業代がたくさん出るからいいのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、これが僕の考える2つ目の壁です。そもそも教師に残業代はありません。その代わりに教員給与特別措置法と呼ばれるものがあるそうです。これは、残業代の代わりに月給の4%を教職調整額として支給するというものです。中学校教員の月給が大卒1年目で約21万円程度なので、4%となると8400円くらいしかもらえないのです。「おかしい」と口に出したいくらいおかしい。月123時間の残業で1日のアルバイト代くらいしかもらえないのです。もちろん、教員の全員が100時間以上残業しているわけではないはずですが、少なすぎるのではないかと思ってしまいます。

 最後の3つ目の壁は、融通の利かない勤務地です。小学校のころ僕の担任の先生は学校に来るまで片道約50kmの道を毎日通っていた。必ず遠くになるとは限りませんが、いくらなんでも遠すぎる気がします。さらに、残業時間の関係も含めると、通勤時間が増えればその分仕事ができる時間が削られていくため、多忙化に拍車がかかるのではないでしょうか。僕だったら、1日忙しく働いた後に、長い時間かけて帰るのは本当につらいし、運転中に眠くなって事故を起こしてしまったらもともこもないと思います。

 と、ここまで教員になるための壁について話をしてきましたが、今話した壁を考慮しても、教員の仕事はやりがいがあると思います。小学生や中学生の大切な時期に、教育に関われるのは先生という職業だけです。

 教職員は、多くの人が定年を迎え減少傾向にあり、さらに75%の学校が人員不足しているといわれているそうです。不足している理由は、僕みたいにやってみたいけどやっていけるか不安で、挑戦できない人もいるのではないかと思います。この問題を解決しないと教師の人数が減っていき、日本の子どもたちの学力がどんどん低下していくとのではないでしょうか。早くこの問題を解決するために、教師の労働を見直していかなければいけないと思います。僕自身も願っているだけでなく、不安を乗り越えて、自分のできることを頑張っていきたいと思います。